古い船と小屋の跡があったが、無人だった。踏み固められることがないせいか、びっしり生えたコケのせいか、地面のふかふかした感触が不思議だった。
動物のフンやツノも落ちていた。
海藻も何種類か取った。
海の小さい生き物、海老やオタマジャクシのようなものや、プランクトンのようなものも採集した。瓶に海水をすくうと、こういう小さい生き物が入ってくるし、アザラシを解体していても、肉を食べる海老のようなものがすぐに寄ってきて、あっという間に毛皮にびっしりになっている。哺乳類や鳥類の種類の少なさに比べると、スバールバルの海の小さな生き物は、種類も数も豊富な印象だった。
哺乳類といえば、シロクマもいた。また、時々山肌にトナカイの群れが見えた。トナカイは、よく見ないと全くわからないほど、周囲の色に溶け込んでいた。