国道6号線沿いを、草野さんの運転で、スクリーニングポイントへむかう。
向こうに雲が見えるでしょう。海の上に。波があんな風に見えた。見えた時はもう遅い、見たら終わりだった。みんな車で100キロくらい出して逃げた。車同士がぶつかろうが構わなかった。反対車線も関係なく走った。
恐ろしい話だと思った。
いたるところで工事が行われている。
この辺はきれいになった、片付いた、と草野さんたちがしきりに言い合っている。
国道6号線沿いの居住制限地域(用事のために日中立ち入ることは可能だが、住むことは禁止されている地域)では、「しまむら」や、(元)結婚式場に、灯りがついている。
駐車場も車でびっしり埋まっている。止まっているのは、みな似たような白い車だった。
それはもちろんしまむらが営業再開しているわけではなく、借りあげられて、除染作業の事務所になっているからだそうだ。
6号線は車どおりが多い。
それはもちろんしまむらが営業再開しているわけではなく、借りあげられて、除染作業の事務所になっているからだそうだ。
6号線は車どおりが多い。
どの車もびゅんびゅんと忙しそうに行きかっている。
不思議な雰囲気だ。
当然だけど、田舎で時々見るような、手をつないで散歩に行く幼稚園児のグループや、ちょっとよろめきながら進む老人の自転車はない。なぜか「戦争ってこんな感じなのかな」と漠然と思う。
つづく
つづく