天気が良く、泣くほど木がきれいだった。
道すがら、数人に話しかけられた。会話がメモしてあるので、書く。
とりとめもないが、そんなことが、自分にとってはだいじなような気がしている。
二人組の女性。
二人組の女性。
「どこ行くの」
「刑務所」
「こっちから行けないよ。一回大きい道に戻って、大回りしないと」
「そうですか。ありがとうございます」
「刑務所になにがあるの?」
「刑務所自体じゃなくて刑務所の前の道に行きたいんです。昨日通ったらきれいだったから」
「そうなんだ!そうだよね」(大笑い)
三人組のお兄ちゃん。
「何の写真を撮っているのか」「何に使うのか」
なんだか少し尋問みたい。
「木の写真。個人的な思い出のため」「私、旅行者なんだ。今日帰るんだ。」
「ああそうなんだ。思い出ね」「思い出だって」「思い出って?」「思い出だよ」「あー思い出か」
「ところでこの国には、悪人(méchant)っていないの?」
「いない」3人同時に答えた。
「じゃあなんで刑務所があるの」
「自分のために働かないで、人のものを盗んだりするのは良くない(pas bien)。そこを矯正(courriger)するのが刑務所。悪人とは違う」
「木の写真。個人的な思い出のため」「私、旅行者なんだ。今日帰るんだ。」
「ああそうなんだ。思い出ね」「思い出だって」「思い出って?」「思い出だよ」「あー思い出か」
「ところでこの国には、悪人(méchant)っていないの?」
「いない」3人同時に答えた。
「じゃあなんで刑務所があるの」
「自分のために働かないで、人のものを盗んだりするのは良くない(pas bien)。そこを矯正(courriger)するのが刑務所。悪人とは違う」
油スタンドのおじさん。
「お金くれ」
「え・・・」
「生活が苦しくて困っている。助けないのは優しくないでしょう」
「お仕事はなんなんですか」
「雑穀農家。あまりもうからない」
「油のスタンドは?」
「前はもうかったけど、今はだめ」
「お金くれ」
「え・・・」
「生活が苦しくて困っている。助けないのは優しくないでしょう」
「お仕事はなんなんですか」
「雑穀農家。あまりもうからない」
「油のスタンドは?」
「前はもうかったけど、今はだめ」
自転車に乗った男の子が近づいて来た。
「お子さんですか」
「そう。息子が一人で、娘が5人。あなた名前は?」
「佐代。あなたは」
「なんとかコンパオレ」
「え、元大統領の親戚ですか?」
「遠い親戚」
「スタンドの写真撮っていいですか」
「いいよ」
10歳くらいの女の子。
「雑穀の写真撮りたいですか」
「え・・・はい」
「あっちです」側道の方向を指差す。
「あっち・・・」指された方向はただ広いだけだった。誘拐されるような気がした。「・・・雑穀があるんですか」
「あります」
「お子さんですか」
「そう。息子が一人で、娘が5人。あなた名前は?」
「佐代。あなたは」
「なんとかコンパオレ」
「え、元大統領の親戚ですか?」
「遠い親戚」
「スタンドの写真撮っていいですか」
「いいよ」
10歳くらいの女の子。
「雑穀の写真撮りたいですか」
「え・・・はい」
「あっちです」側道の方向を指差す。
「あっち・・・」指された方向はただ広いだけだった。誘拐されるような気がした。「・・・雑穀があるんですか」
「あります」
私はついていった。
「私はマリーって名前で、クリスチャンです。」
行儀がよくて、かわいい声の子だなと思う。ますます怖い気がする。
なにかの罠かと思ったが違った。奇跡みたいにいい子だなと思った。どんな女のひとになるんだろう。
午後、ワガドゥグへ戻り、空気を取る。
「何してるの」
「空気をとってます」
「あーなんかの調査か」
「ううん、おみやげ」
「ふーん」
「私はマリーって名前で、クリスチャンです。」
行儀がよくて、かわいい声の子だなと思う。ますます怖い気がする。
なにかの罠かと思ったが違った。奇跡みたいにいい子だなと思った。どんな女のひとになるんだろう。
午後、ワガドゥグへ戻り、空気を取る。
「何してるの」
「空気をとってます」
「あーなんかの調査か」
「ううん、おみやげ」
「ふーん」
19時、飛行場へ向かう。空気をとったのと同じ交差点で乗り合いタクシーを探す。が、ぜんぜんつかまらない。写真の左のお兄ちゃんが、「友達がバイク持ってるから、送って行ってもらいなよ」という。
「え。知らない人だし、ちょっと怖いです」
「僕はこの店のオーナーの息子で、友達はずっと前から知ってる友達だよ」
「・・・」
トランクを前に乗せて、リョックを背負った私を後ろに乗せて、80ccのバイクはフラフラだった。帰宅ラッシュのワガ中心部を通りぬける間に、夕日が沈む。事故にもあわず、誘拐もされず、私は飛行場に着いた。
・・・
ゲートが開くのを待つ間、一人でぼーっとしていると、不安な気持ちになる。
◎ブルキナファソはたのしかったが、長く住んだら耳に砂がつまって病気になるのではないか。
◎滞在数日目から、明らかに暑さに耐性がついた。これから再び寒い中に戻って、体調を崩すのではないか。
◎今朝の散歩中にフィルムカメラで撮影したことを、急に後悔しはじめる。日差しのまぶしさや、雑穀農家の女の子のことが目に焼き付いている。でももしかしたら、ちゃんと写ってないかもしれない。
わざわざ遠くへ出かけた先で、とりとめのないことばかり話したり、考えたり、帰ってきて思い出したりしている。
そんなとりとめのないことが、自分にはとても大切な気がしている。
・・・
制作で行った場所の空気を売っています。ワガドゥグの交差点でとった空気も追加しました。
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